遺影

2018年08月27

これは雨上がりの空を車の中から撮った写真で、だからフロントガラスの水滴が写っているでしょ?


「今日死ななきゃ死ねない気がする」
と突然、友達の女性からメッセージが来たので、
「それなら今日死ななきゃ死ななくて済んで良いじゃない」
と返信したのだけれど、それから返事がなくて、
「ううん、対応がまずかったかな...」
と心配でした。
 
数日後に連絡が来ると、入院しているとのことでした。
 
「遺言状としてポコさんの写真を遺影にしてもらう事書いたんだ」
と彼女は言いました。
 
僕の写真を遺影に選んでくれるのだとしたら、それはとても光栄な事だなと僕は思いました。
 
 
今年の春には、
「癌で闘病中なので抗癌剤で髪が抜ける前に遺影を撮って欲しいのですが、料金は幾らぐらい掛かりますか?」
というお話が来ました。
 
「それなら料金は三千円ほど頂いて、それでお花を買ってお伺いします」
とお返事をしたら、
「いっくん、そこは商売しなくちゃダメだよ」
と言われました。
 
「いっくんという風に呼ぶってことは、あなたは僕と会ったことがあるのですか?」
と尋ねたら、会ったことは無いけれど、ずっと昔にそう呼んで欲しいと僕に言われたのだそうです。
 
僕はあなたは誰かと尋ねたけれども、彼女は自分が誰だか明かしたくなかったようで、そのうち、連絡が取れなくなってしまいました。
 
 
僕の友達が健やかに生きていて欲しいと願うと共に、いつか僕が遺影を撮れるくらいに人として成熟するまで、誰かわからない彼女も、どうか元気でいて欲しいなと願っています。